みなさま、こんにちは!
5月に入り3月決算の申告に向けて忙しい時期に入られている方も多いのではないでしょうか。
今回は、6月より施行される「令和6年分所得税について定額による所得税の特別控除(定額減税)」について解説していきたいと思います。
「令和6年度税制改正の大綱」(令和5年12月22日閣議決定)において、税制改正の内容が決定されました。
これにより、令和6年6月から「所得税」と「住民税」の定額減税が実施されることとなります。
私たちは令和6年の6月から開始する定額減税について給与計算でどのように事務処理をしなければいけないのか、定額減税実務について①~⑥の項目に分けて解説したいと思います。
① 定額減税の種類について
② 定額減税の対象者
③ 定額減税の減税額
④ 実施の方法について
⑤ 給与明細や源泉徴収表への反映
では、それぞれ確認していきましょう。
定額減税は住民税と所得税の2つに適用されます。
本人、控除対象配偶者及び扶養親族1人につき1万円を掛けた金額を所得割額から控除します。
令和6年は6月分の住民税は徴収せず、定額減税後の税額を7月分から翌5月分の『11か月』に分割して徴収していくことになります。
また、100円未満の端数については、最初の月で徴収します。
本人、控除対象配偶者及び扶養親族1人につき1万円を掛けた金額を所得税から控除します。
所得税の定額減税の中にも2つあり、1つ目が「月次減税」2つ目が「年調減税」ということで実施の時期が分かれています。
この月次減税というのが令和6年の6月から始まるということで、実務担当者は準備や理解をしておかないといけないこととなります。
(1)この定額減税の対象になるのは、「日本の居住者」であること 。
日本に住民票を置いてない方は、「日本の非居住者」となり定額減税の対象になりません。
(2)令和6年6月1日現在、在籍している従業員であること。
(3)令和6年分の合計所得が 1,805万円以下(給与収入が 2,000万円以下の人)であること。
所得1,805万円には退職所得・退職金も含めることとなっているので、今年退職する予定で退職所得が大きい額になるという方も対象にならない場合があります。
収入2,000万円以上は年末調整計算の適用対象外とされていることから、年末調整での精算を行うことはできないので、確定申告で最終的な年間の所得税額と定額減税額との精算を行うこととされています。
定額減税の減税額については、下記の(1)~(3)にわかれます。
(1)自分自身の分として減税が3万円
(2)同一生計配偶者に該当する 配偶者がいる方の場合はプラス3万円
(3)扶養親族に該当する方がいる場合は1人につき3万円
「令和6年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載のない同一生計配偶者や16歳未満の扶養親族確認書類として、各従業員に『令和6年分 源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書』を令和6年6月1日以後最初に支払をする給与(賞与を含む)の支払日までに会社へ提出していただく必要があります。
※「令和6年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していることが前提のため、現時点で提出が無い場合はこちらを提出依頼してください。
ここで注意しなければならないのは、この同一生計配偶者や、扶養親族の方はその扶養親族の合計所得が48万円以下(給与収入103万円以下)の方に限られます。
また年末調整と違い、16歳未満の扶養親族の方もここには入れることができます。
例えば本人の控除として3万円、同一生計配偶者として扶養していればプラス3万円、お子様を2人扶養していれば2人×3万円の合計12万円ということになります。
そのため、各従業員の状況によって減税の額が変わってくるということになります。
先ほど同一生計配偶者といいましたがこの定義について、単なる配偶者ではありません。
同一生形配偶者というのは、配偶者の方が所得48万円以下(給与収入103万円以下)の方をいいます。
実施方法については重要なので詳しく説明をしていきます。
月次減税は令和6年 6月1日以降に支給する給与や賞与から控除を開始します。
そのため、令和6年6月1日現在で在籍している従業員が対象ということになります。
令和6年6月2日に入社してきた方は月次減税の対象外となり、年末調整時の「年調減税」で控除を実施します。
減税の額は『源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書』に記載された情報によって金額を確定します。
例えば7月にお子さんが生まれた、10月にお子さんが扶養から外れた(給与収入103万円以上になった)など、申告書提出後に状況が変わることもあると思いますが、令和6年6 月1日の最初の給与の時に提出された申告書を元に計算した金額で確定し減税処理が続きます。
確定した減税額が6月支給給与だけでは控除しきれない場合、賞与や7月支給給与、8月支給給与・・・と繰り延べされて、少しずつ取り崩し確定した減税額が減っていくというような形となります。
12月支給給与まで順次控除していくのですが、その時点でまだ確定した減税額が残っている場合は、年末調整で『年調減税』をします。
年調減税は6月より前の1月から5月までを含めた1年間の所得税を、年末調整時に減税することを言います。
6月2日以降に入社された方は月次減税対象ではないため、通常通り給与計算し、確定した減税額をまとめて年調減税をします。
個人住民税が課税される市区町村において、2023(令和5)年の課税状況(所得税・個人住民税)に基づき、定額減税で引ききれないと見込まれるおおむねの額が調整給付されるようです。
年末調整の結果、給与所得者の年調所得税額から控除しきれなかった年調減税額については、源泉徴収票(給与支払報告書)に年調減税額の控除外額として記載し、令和6年の所得税と定額減税の実績が確定したのち、不足する金額があった場合は、個人住民税が課税される市区町村から支給対象の方へ案内がされるようです。
給与明細や源泉徴収票には、定額減税について処理をした旨を記載する必要があります。
令和6年6月1日 以後に交付する給与明細には備考欄などに、月次減税額のうち実際金額を「定額減税額(所得税〇〇円)」または、「定額減税〇〇円」と記載しなくてはいけません。
年末調整済の源泉徴収票は、摘要欄に実際に控除した「源泉徴収時 所得税減税控除済額〇〇円」の記載が必要となります。
また、所得税から引ききれなかった定額減税の金額については「控除外額〇〇円」と記載する必要があります。
年度途中退職の方や、年収2,000万円以上で年末調整対象外の方については摘要欄へ定額減税額の記載の必要はありませんが、「源泉徴収税額」欄には控除前税額から月次減税額を控除した後の実際源泉徴収した合計額を記載します。
国税庁のホームページには『各人別控除事績簿』のフォーマットが用意されております。
減税額を6月引いたのがいくら、7月まで繰り延べてるのがいくらの現状把握のため各人別にチェックをしていく様式ですが作成は義務ではないため今後の運用についてはご使用の給与計算のソフトでのシステム対応や各社の判断により、作成するのがよいかと思われます。
いかがでしょうか。
今回は、令和6年6月に開始される定額減税について、現時点で公表されている情報を詳しくご紹介しました。
まだ制度のすべてが公表されていない状況ですので、今後も随時確認する必要がありそうです。
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